会長あいさつ

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 大阪のがん対策に貢献
    できるよう取り組みます

    会 長  松 浦 成 昭

 

 2016年6月10日付けで掘正二前会長の後を受けて、大阪対がん協会会長に就任いたしました。大阪対がん協会は1959年に設立され長い歴史と実績を有しており、大変光栄なことと存じあげ、身の引き締まる思いです。もとより浅学菲才の身でございますが、皆様方と手をたずさえて大阪対がん協会の発展と大阪のがん医療の向上に尽力したいと存じますので、何卒ご支援、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 ご承知のように我が国でがんに罹患する人の数は毎年、増える一方で、2016年度は100万人を超えると予想されており、これに伴いがんでなくなる方の数も増加の一途をたどっています。一方で、高齢化の要素を除外した年齢調整死亡率は着実に減少してきており、がんの対策が少しずつ成果をあげてきていると言うことができます。がんは数十年前の「不治の病」と言われた時代から考えると、最新の相対5年生存率は60%を超えており、多くの方ががんを克服して活躍されておられることは大変うれしいことです。とはいえ、この数字の意味するところは、4割近い方が5年以内にお亡くなりになっているということで、さらなる効果的な対策が求められており、昨年末には政府からがん対策加速化プランが打ち出されました。

 がんを治すことは言うまでもなく最も重要なことではありますが、ただ治ればよいというものではなく、患者さんのQOL(quality of life)を十分に保つとともに、がんに罹患しても元の生活が送れるような支援も強く求められてきています。また、不幸にして治療が奏功せず、お亡くなりになる終末期の方に対する緩和ケアをはじめとする様々な配慮も重要になってきました。このようにがんの患者さんには医療面に加えて、社会的側面からの支援も求められており、幅広い多様な観点からの対策が必要になってきました。

 大阪府は47都道府県の中で2004年まで、全国で最も年齢調整死亡率が高いという不名誉な記録を持っていましたが、がん対策が功を奏して、全国レベルを上回る死亡率の改善が見られ、2005年以後は最下位を免れるに至りました。しかし、年齢調整死亡率が下から10番以内の状況が続いていることには変わりなく、さらなる対策が求められる所です。

《松浦成昭会長の略歴》

まつうら・なりあき 大阪大学医学部卒、大阪大学医学部教授、大阪大学大学院医学系研究科教授、平成26年4月から大阪府立成人病センター総長。日本病理学会評議員、日本癌学会評議員、日本炎症学会評議員。大阪対がん協会では26年6月から理事(副会長)、28年6月10日付で会長就任。